2016年9月アーカイブ

「所得税の配偶者控除の見直しに関する論議」について

2016年9月26日


所得税の「配偶者控除」については皆さんもご存じだと思います。「所得控除」という区分の内容で、「人的控除」と呼ばれるものの1つとなります。


人的控除の趣旨を簡単に説明すると、扶養したり面倒を見るべき家族がたくさんいると生活が大変だということで、税額の軽減を図るという趣旨で設けられています。


ここ数年、税制改正の論議が出てくると必ず上がってくるテーマの1つが、「所得税の配偶者控除の見直し」です。なぜこれが見直しの対象になってるのかということで、2つ理由をあげます。


1つは、所得控除だからということです。


所得控除の場合、その後の税率の違いによって受けられるメリットがかなり異なってくるということです。5%税率の方については、税金ベースで計算すると控除のメリットが2万円弱という金額になります。それに対して現在一番高い税率の45%税率の方については、17万円以上の税額の軽減が図られます。


そのため、いわゆる高額所得者に手厚い税制になってしまっているということが1つの理由です。


もう1つは、家族の在り方がだいぶ変わってきているということです。皆さんご存知の通り、103万円までの収入の方であれば配偶者控除のメリットが受けられるということで、女性の働き方に非常にいびつな影響を与えているのではないかという議論があります。


実際に平成23年に厚生労働省が行った統計調査によりますと、既婚女性で働いている方の5人に1人以上、2割以上の方が配偶者控除を受けるためという趣旨で就労調整を行っているという統計調査が出ています。


つまり、この制度がなくなればいびつな働き方もなくなり、労働力の確保が容易になる、所得が増大する、ひいては税収が上がるというバランスの中で議論がされていると聞いています。


そして今議論が進んでいるのが、「夫婦控除」と呼ばれる制度です。夫婦の合計収入に応じて税額の軽減を図るという検討が進んでいます。ここ数年ずっと続いていますので、おそらく12月頃に税制改正の内容が出てくるのではないかと思っています。


毎年の税制改正において、どういった内容が変わっているのかを追いかけるのは当然大事なことですが、「なぜ」変わっているのかという制度趣旨についても考えていくと、理解が深まるのではないかと思いお話ししました。

発言者の名前布施永善本日の発言者:布施
本日の発言時間:3分40秒

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