ものの本質をみるとは(国会議員の劣化を憂える)

今行われている、通常国会、衆参予算委員会、特別委員会等の国会中継を見て感じたことです。


1.日本国債の安全性について

 消費税増税法案の審議に関連する質疑応答が行われた中、ある国会議員は、日本の国債は極めて安全だ、と言うのです。その理由は、日本の国債は銀行や保険会社等の金融機関等を通して、日本の国民が90%以上保有しており、その国民は1400兆円もの預金を有しているからだと言うのです。日本の金融機関は、国民から預かったお金の運用に困り、日本国債をその発行額の90%以上も所有している。だから日本の国債がデフォルトすれば真っ先に金融機関が困る。従って、金融機関が国債を売ることは有り得ない。だから安全だとおっしゃるのです。


 つまり、国債を保有して欲しい国と、国債を保有している金融機関とが国債価格が維持されることで利益を共有していると言うことでしょう。


 そして、そのような安全な国債だから、否、安全な証拠に諸外国が日本の国債をどんどん買っており、他国に比べて極めて低い金利に推移しているのだと言うのです。


 これって「日本の国債」の本質をみた評価でしょうか?


 私は違うと思うのです。先の質疑に立った国会議員が言っているように、日本の国債の保有者は確かに90%以上が日本国民であり、又、諸外国が日本の国債を買っていることは事実です。


 でも、だからと言って日本の国債が安全とは言えないでしょう。日本国民も諸外国も目下のところ日本の国債が他の国の国債に比べて、比較的安全だと思っていると言うだけです。つまり、日本の国債が安全だと思っている人がかなり居ると言うことであって、だからと言って安全だと言う理論にはなりません。


 それは、多数決が正しいと言う理論と同じで、極めて危険だと思うのです。その良い例が米国発のプライムローンです。投資先を無くした米国金融機関が、経済理論上、絶対安全だと言う神話を信じて投資したのがきっかけで遅れを取ることを恐れた金融機関が争って追従した結果が、ご覧の結末です。後で実態を知れば「おろか」と言う他ありません。


 実を言うと日本の金融機関は、日本政府の圧力により日本国債を買わされ、その所有動向を常に監視されている節があります。その結果、所有割合がどんどん大きくなってしまい、危機を感じて売りたくても自らの所有資産(国債)の暴落を招く行動に出られなくなってしまったと言うのが実情のようです。


 日本の国債が安全か否かは、その発行者である日本国の実態を見る必要があるでしょう。

 以下の数値は分かりやすく概算によっています。税収(年間)は、42兆円、予算(支出)は、(年間)96兆円、借入金残高は、1000兆円(国債を含む累積額)、国債費支払額(年間元利合計)は、21兆円(元金11.4兆円、利子9.6兆円)、借入金とGDP比は、229.77%(欧米先進国の約3倍、デフォルトしたギリシャは160.81%)国民の預貯金額は、1400兆円、国民の借入金額は、400兆円、日本の国債利回り0.785%~。


 これを分かり易く個人の家計に例えてみますと給与年額、420万円のサラリーマンが960万円支出し、1億円の借金を背負っていると言うことです。実に収入の2.2倍の消費をし、収入の24年分の借入金を背負っていると言うことです。


 こんなの、経営分析等の難しい理論を持ち出すこともなく明らかに常識的にみて、破産状態ですよね。


 それを借入先(国債の所有者)が、日本国民だから大丈夫と言う理論はデフォルトした時、日本国民に「ごめんなさい」と言って帳消しにしてもらうと言うことです。明治時代、預金封鎖が行われたことがあるようですが、今の時代そんなことをすれば、暴動が起きるでしょう。


 以上、日本の財税状態が極めて危機的状況にあるのは明らかです。この立て直しには、消費税増税法案だけで解決する程、生易しい問題ではありません。併せて、国の支出の大幅カット、景気の立て直し、埋蔵金の活用、保有資産の思い切った売却等、総合力が必要です。


 何より問題なのは、先の国会議員に代表される、為政者である国会議員の危機意識の希薄さです。


 この要因は、現与党の民主党だけでなく、長年与党の座にあぐらをかき放漫経営をしてきた自民党に大きな責任があります。


 そして、最終的にはそれを黙認してきた国民にあります。今まで、あまりにも自由奔放で好き勝手なことをやってきた付けがきました。これからは国民も耐乏生活を覚悟しなければならない時代に入ったと言えます。


2.原発再稼働の妥当性について

 野田政権は、脱原発を停止し、原発の再稼働を決めました。これは、ものの本質をみた決断と言えるでしょうか?私は違うと思うのです。


 今回の原発事故では、多くの人が住み慣れた我が家や故郷を無くし避難中に病気になったり、命を落とされた方がたくさんおられます。財産、健康、命を奪われ、収入の道も断たれました。補償も遅々として進んでいません。極めて罪が重いと思うのです。


 国会事故調査委員会は、7月5日に公表した最終報告書で「原発事故は人災」と断じました。


 このような公の機関の報告を待つまでもなく、常識的にみて原発は人災であります。そして、その復旧作業は緒についたばかりです。原発に関する基本的な問題も解決されていません。原発内は、今も放射線量が高くて入れない場所が多く、原子炉格納容器など内部の状態はほとんど分からずロボット頼みの状況だとのことです。


 しかも、使用済核燃料の解決方法が今なお立っていません。それでいて、なおこれを生み続けようとするのです。今後、これをどのように処理すると言うのでしょうか。子孫に大きな付けを残すことになります。


 このような命に係わる未解決問題を数多く残したまま、原発を再稼働させるなどの答えはどこを敲いても出てこないことです。


 人間とは哀れな動物ですね。あの悲劇からわずか1年余りで又同じ過ちを犯す可能性の高い行為をしようとしています。それでも原発を再稼働させることとした要因は結局のところ、経済事情でしょう。


 原発がないと停電せざるを得ない、それでは企業の経済活動に支障をきたし、世界の競争力に負け、ますます企業の国外進出が盛んになり引いては日本国内は疲弊し、雇用の減少に繋がる。或いは医療関係では生命の危機をきたす、という理論に負けたのだと思うのです。


 また、地元自治体が賛成するのは、原発がなくなれば助成金がもらえなくなり、失業者が出る、と言うことでしょう。ならば、解決策はある。


 原発は廃止する。但し、代替エネルギーが育つ間、5年間は最小限度の稼働を認めると、期限を切って明言することです。


 今後原発に掛かる費用を代替エネルギー対策に充て、国も思い切った 助成制度を取り入れれば民間企業は、企業の活性化の為に積極的に参入してくることでしょう。


3.国会議員の品格について

 国会中継を見ていて、感じたこと。日本の国会議員には、品格のない議員が多過ぎる。


 まず第一に、言葉遣いが悪すぎる。一国の首相に対する態度とはとても思えない。全く尊敬の念がない。例え、政策の違い、考え方、価値観の違いはあるにせよ、一国の、自分たちの国の首相ではないか、少なくとも国民によって選ばれた首相であってみれば、理屈を超えてそれなりの尊敬の念を持って対応すべきだ。


 それを、くそみそに罵倒するような言葉を並べ立てて、質問内容そっちのけ、自分が目立とうとする様は、見るに忍びない。


 それに、低レベルのヤジが多い。もっと機知に富んだヤジが出せないのは、基本資質のなさなのだろう。


 驚くことは、欠席者が多いこと、居眠り者が多いこと、更に悲しいことは、四六時中文庫本を読んでいる議員がいたこと。それで会期延長し、報酬を取っているのかと思うと、日本の将来はとても淋しい。


 メディアはもっとこんな風景を国民に周知すべきだ。次の選挙には落ちてもらいますと。


 国会中継はとても日本の小中学生に見せられない。


4.リーダーの資質について

 以上、日本の国会議員の資質について述べてきましたが、今の政治家に感じることは、多数決理論に左右され過ぎると言うことです。それは、自己の政治理念に自信がないのか保身なのか?


 確かに、国民の代表者だから、国民の多数意見は大切です。


 しかし、それが正しい日本の方向性か否かとは別問題です。多数決で政治が出来るのであれば、メディアが最も適任と言うことになります。


 米国イリノイ大学のジョーンズ教授は、指導者としての基礎条件を4つ揚げその中の1つに、「人間の集団に対して、正しい方向を与えられること」と言っています。(「会計人の原点」飯塚毅 著 TKC広報部)


 例え、国民の多数意見と違っても、日本の国際的な立場や将来予測等を明確にして、今後進むべき道は、こっちなんだ、と力強く導いてくれるリーダーの出現が真に望まれます。


 それには、今の時代、個の力には限度がありますから、リーダーに真に信頼できる良きブレーンが必要だと痛感する次第です。


平成24年7月吉日


アイクス税理士法人  代表 飯田 昭夫

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