故意無申告への刑罰創設

3党合意改正税法の重罰主義

2011年6月30日に公布された『3党合意23年度税制改正法』で目立つのは、「故意の申告書不提出によるほ脱犯の創設」で、申告納税に係る17の税法への新設です。


これは重加算税といった行政のペナルティ強化とは異なり、犯罪としての懲役・罰金刑の法定であり、憲法の罪刑法定主義の要請による法定です。


17 の税法の3様相

  1. 新法は2ヶ月間の周知期間経過後の行為に対して適用されることになります。
  2. 所得税法に限っては、平成23年分以後の所得税に係る行為について適用となります。
  3. 措置法に係る所得税・相続税の義務的修正申告の不提出もこの類型です。

ほ脱犯とは

ほ脱犯とは『脱税犯のこと』です。故意犯なので、

  1. 納税義務の存在の認識
  2. 偽りその他不正の行為の認識
  3. 正当な税額の全部又は一部を免れる結果となることの認識

があるとされるとき対象になります。


個人については、懲役刑と罰金刑の両方が併科されることになります。

法人の場合には代表者等に懲役刑となり、法人に罰金が科されることがあります。


重加算税との重複は?

憲法39条の「又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われない。」との関連で、重加算税と併せて刑罰を科してもよいのか、の議論があるが、確定した判例では是とされています。


憲法上の黙秘権と税法の調査協力義務

立件を目的にする犯罪調査には憲法上黙秘権の行使が保証されています。もちろん、一方で調査における協力義務の問題もあるので、境界が微妙です。実務的にも理論的にも、議論の多いところなのです。


「東京税理士界」機関紙の心配

「納税者の権利は薄く、義務はあつく、質問検査権による調査は、事実上の強制調査に変貌か」

このようなタイトルの記事が機関紙「東京税理士界」3月1日号の11面に掲載されていました。


税務調査も鋭く対立する場面が、「場合や事案」によっては避けられません。犯罪調査に一転する可能性を秘めて税務調査に協力的に臨むことへの相反的危うさがあるのです。

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